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「私の努力が足りないせい」と、もう自分を責めないでいい。―2026年、キャリアコンサルタントが“社会の壁”に立ち向かう理由。

こんにちは。
一般社団法人カリエーレ・コムサ、
キャリアコンサルタントの佐渡治彦です。

キャリアコンサルティングをしていて、
「キャリアコンサルタントとして、話は聴けている。
でも、この人の苦しみは本当に『心』だけの問題なんだろうか?」

そんなモヤモヤを抱えたことはありませんか?

2026年1月21日、厚生労働省から発表された「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会」の報告書。
そこには、私たちキャリコンが「個人の支援」という殻を破り、「社会の公正さ」にコミットするための羅針盤が示されていました。

「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会」の報告書を公表します www.mhlw.go.jp

今、キャリア支援を実践するうえで必要なことは、下村英雄氏(独立行政法人労働政策研究・研修機構<JILPT>統括研究員)が提唱する「社会正義のキャリア支援、3つのプラクティス」です。

これを日本の現場でどう使い、どう広げていくべきか。
SDGsが目指す「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」を実現するための、新しい時代の支援方法を述べてみたいと思います。


1. 私たちが直面している「静かな不平等」

今の日本は、かつてないほど「格差」が形を変えて忍び寄っています。
非正規雇用の固定化、性別によるキャリアの二極化、そしてAI技術の進展によるスキルの選別。

令和8年の厚労省報告書でも指摘されている通り、社会構造の変化は、一部の人々に過度な負担を強いています。
これらをすべて「自己責任」で片付けてしまう社会は、持続可能(Sustainable)ではありません。

そこで必要になるのが、「社会正義のキャリア支援」の視点です。


2. 現場を変える「3つのプラクティス」

下村氏が唱える3つの実践を、日本の「いま」に当てはめて解釈してみましょう。

① 深い意味でのカウンセリング:悩みの「背景」を解き明かす

まずは、目の前の相談者との対話です。
ただし、単なる受容・共感で終わらせません。
相談者が「自分がダメだから報われない」と思い込んでいるとき、その悩みの影にある「社会の仕組み」や「制度の不備」を一緒に見つめます。

  • 「あなたが昇進を諦めたのは、あなたの意欲の問題ではなく、会社のケア労働(育児・介護)への無理解が原因ではないですか?」

このように、悩みを個人の内面から社会の文脈へと引き戻す
これが、相談者の尊厳を取り戻す「深い意味でのカウンセリング」です。

② エンパワメント:自分の人生の「ハンドル」を取り戻す

次に、相談者が「自分には状況を変える力がある」と信じられるよう支援します。
「社会が悪い」と嘆くだけでなく、その不条理の中でどう動くか、どう声を上げるか。
相談者が持つ本来の力を引き出し、自らの足で一歩を踏み出す勇気を支えます。
これは、SDGsの「誰一人取り残さない」ための、個別の自立支援そのものです。

③ アドボカシー(擁護・代弁):環境そのものに「NO」を言う

3つ目が、最も勇気のいる、そして最も重要なアクションです。
キャリコンサルティングでは解決できない、相談者を苦しめている「環境」そのものに働きかけます。

  • 企業に対して:不合理な評価制度やハラスメントの温床を指摘し、改善を促す。
  • 社会に対して:制度の隙間に落ちている人々を救うための仕組みを提案する。

厚労省の報告書でも、キャリアコンサルタントが「組織・社会への働きかけ」を強めるべきだと明記されました。
私たちは、相談者の「味方」として、社会に声を届けるスピーカーにならなければなりません。


3. 日本で「社会正義のキャリア支援」をどう広めていくか

「社会正義」という言葉を、特別な思想ではなく、キャリアコンサルタントの「標準装備」にするために、2026年以降、以下の3つのアクションを展開していきたいと考えます。

A. 「組織開発」のパートナーとしての地位確立

企業に対し、「公正な職場環境を作ることこそが、生産性を高め、優秀な人材を惹きつける(ディーセント・ワークの実現)」というエビデンスを提示しましょう。

キャリアコンサルタントは、単なる「相談役」ではなく、「持続可能な組織を作るコンサルタント」として、経営のコアに入り込む必要があります。

B. 「技術の公正性」の監視

AIによるマッチングが主流になる中、そのアルゴリズムに偏見がないか、特定の層が排除されていないかをチェックする「倫理的な番人」の役割を担いましょう。
最新技術を、格差を広げるためではなく、格差を埋めるために使う。
これが、令和8年報告書が求める「先端技術への対応」への行動です。

C. 現場の声を「政策」に変えるネットワーク

一人のキャリコンの力は小さくても、8万人のキャリコンがつながれば大きな力になります。
現場で見つけた不条理をデータ化し、職能団体を通じて厚労省や自治体にフィードバックする。
現場の「小さな違和感」を、国の「大きな制度」に変えていくボトムアップの流れを加速させましょう。


結びに:目の前の一人を支えることが、社会を変える「第一歩」になる

新人キャリアコンサルタントの皆さん、そして現場で奮闘されているベテランの皆さん。

相談者の涙に寄り添うとき、「なぜこの人はこんなに苦しまなければならないんだろう?」と立ち止まることはありませんか。
その疑問こそが、私たちが本当の意味で社会の役に立つための出発点です。

2026年、日本のキャリア支援は、個人の心に寄り添うだけでなく「働く環境そのものをより良くしていく」フェーズへと突入しました。

目の前の一人が明日から少しでも楽に、自分らしく働けるよう知恵を絞ること。その積み重ねが、誰もが取り残されない社会を作っていくのだと信じています。

一般社団法人カリエーレ・コムサは、「働き方に悩む人を、ゼロに。」を
モットーに、求職者支援を行っていきます。

お気軽に、お声掛けください。

カリエーレ・コムサ 求職者向け

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