こんにちは。
一般社団法人カリエーレ・コムサ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。
「自分のやりたいことを実現するために、あえてやりたい仕事である派遣社員という働き方を選んだ。でも、やっぱり正社員のほうが安定しているし、社内での立場も強い。このままやりたいことを優先していていいのだろうか──」
こんなご相談を受けたことがあります。
そんな葛藤を抱える方に、キャリアコンサルタントとしてお伝えしたいことがあります。
働き方の選択は、人生の価値観そのものです。
派遣社員という道を選んだ決断は、間違っていません。
ただ、今感じている不安や揺らぎには、しっかり向き合う価値があります。

「やりたいことをするために働く」という選択
まず、「やりたいことをするために派遣社員になった」という事実は、立派な選択だと思います。
多くの人が「やりたいことはいつか」「安定してから」と後回しにする中で、それを実行に移しました。
これは、キャリアの主体性を持った非常に勇気ある選択です。
派遣という働き方は、時間の自由度や職場選択の柔軟性が高く、自分の活動や挑戦に集中しやすい環境をつくることができます。
副業、創作活動、学び直し、地域活動──そのどれもが、正社員では難しい場合もあるでしょう。
自分のやりたいことである仕事の派遣社員の選択は、自分の人生を自分でデザインしようとしたのです。
それでも「正社員のほうがいいのでは」と思う理由
それでも今、「やっぱり正社員のほうがいいのでは」と感じているのは、なぜでしょうか?
多くの場合、その理由は以下のようなものです:
- 社内での立場が弱く、意見が通りにくい
- 契約更新の不安が常につきまとう
- 周囲からの評価が低く感じる
- 将来の生活設計が立てにくい
これらは、派遣という働き方に伴う“構造的な不安”です。
ご自身の能力や意志とは関係なく、制度や文化がそうさせている部分もあります。
だからこそ、「やりたいことをするために派遣になった」という前向きな選択が、時に揺らいでしまうのです。
「安定」と「やりたいこと」は本当に両立できないのか?
ここで問い直したいのは、「やりたいことをするためには、安定を諦めなければならないのか?」ということです。
実は、両立の道はあります。
たとえば、正社員として働きながら副業や創作活動を続ける人もいます。
フルタイムでなく、時短正社員制度のある企業もあります。
また、企業によっては、柔軟な働き方を認める制度も整ってきています。
つまり、「やりたいことをする=派遣」「安定=正社員」という二項対立ではなく、もっとグラデーションのある選択肢が存在するのです。
キャリアの軸を見直すタイミング
今、必要なのは、「働き方を変えること」ではなく、「自分のキャリアの軸を見直すこと」かもしれません。
- 自分が本当に大切にしたい価値観は何か?
- やりたいことは、どのくらいの時間・エネルギーを必要とするか?
- 安定とは、収入なのか、立場なのか、将来設計なのか?
これらを整理することで、「やりたいことをするために派遣」という選択が、今の自分にとって最適なのか、それとも別の形があるのかが見えてきます。

キャリアは“選び直せる”もの
キャリアは一度決めたら終わりではありません。
人生のステージや価値観の変化に応じて、何度でも選び直せるものです。
もし今、「正社員になったほうがいいかもしれない」と思うなら、それも立派な選択です。
ただし、それが「不安から逃れるため」ではなく、「自分の価値観に沿った選択」であることが大切でしょう。
そして、派遣として働いた経験は、決して無駄ではありません。
むしろ、自分のやりたいことに向き合い、実行した時間は、どんな働き方にも活かせる大きな財産です。
最後に──あなたのキャリアの“軸”は何ですか?
キャリアの選択に、その時点で「正解」はありません。
あるのは、「自分にとっての納得解」だけです。
正社員になることも、派遣社員として働くことも、どちらも間違いではありません。
大切なのは、「自分がどう生きたいか」「何を大切にしたいか」という軸を持つこと。
その軸があれば、どんな働き方でも、自分らしいキャリアを築いていくことができます。
迷ったときこそ、自分の声に耳を傾けてみてください。
キャリアの答えは、いつもあなたの中にあります。
なかなか見つからないときは、キャリアコンサルタントとお話しすることで、思わぬ気づきがあるかもしれませんよ。

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