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転職活動は「在職中」か「退職後」か?キャリアコンサルタントが教える、後悔しない選択の鉄則

こんにちは。
一般社団法人カリエーレ・コムサ、
キャリアコンサルタントの佐渡治彦です。

「今の会社を辞めてから転職活動に専念すべきか、それとも働きながら活動すべきか?」

これは、転職を考え始めた方の多くが直面する最初にして最大の悩みです。

結論から申し上げますと、様々な考え方がありますが、キャリアコンサルタントとしての経験上、基本的には「在職中の転職活動」を強くおすすめします。

しかし、すべてのケースにおいて在職中が正解というわけではありません。ご自身の置かれている状況、精神状態、貯蓄額などによって最適な戦略は変わります。

この記事では、プロの視点からそれぞれのメリット・デメリットを徹底比較し、あなたがどちらを選ぶべきかの判断基準を具体的にお伝えします。

1. なぜ「在職中の転職活動」が基本のセオリーなのか

多くの専門家が「辞めずに次を探すべき」と言うには、明確な理由があります。
それは、転職活動における「交渉力」と「精神的余裕」に直結するからです。

圧倒的なメリット:収入が途絶えない安心感

最大のメリットは経済的な安定です。
転職活動は平均して3ヶ月〜半年程度かかると言われています。
もし退職後に活動を始め、想定以上に長引いた場合、貯金を切り崩す生活は想像以上のストレスとなります。
「来月の家賃はどうしよう」など経済的な不安を抱えながらでは、本来のパフォーマンスを発揮することはできません。

妥協しない選択ができる

これが最も重要なポイントです。
退職して収入がない状態だと、焦りから「どこでもいいから早く就職したい」という心理状態に陥りがちです。
その結果、本来の希望条件を下げたり、ブラック企業かもしれない会社の内定に飛びついてしまったりするリスクが高まります。

現職に留まっていれば、「良いオファーが出なければ今の会社に残る」という選択肢を持てるため、対等な立場で企業と交渉ができます。

「ブランク(空白期間)」が生まれない

履歴書上の空白期間は、採用担当者が気にするポイントの一つです。
「3ヶ月以上無職の期間があるが、何をしていたのか?」「他社で決まらなかったのではないか?」というネガティブなバイアスがかかる可能性があります。
在職中であれば、職歴が途切れることなくスムーズなキャリア移行をアピールできます。

2. 在職中の活動に潜む「落とし穴」と対策

もちろん、働きながらの活動には難しさもあります。

時間の確保が最大の課題

日中の面接調整が難しいのが現実です。

  • 対策: 近年はオンライン面接が主流になり、19時以降やランチタイムに面接を設定してくれる企業も増えています。
    有給休暇を半休単位で活用したり、エージェントに日程調整を代行してもらうのが賢い方法です。

疲労によるモチベーション低下

本業で疲れ果てて帰宅した後、履歴書を書くのは骨が折れます。

  • 対策: 短期集中と決め、週末にまとめて書類を作成する、あるいは通勤時間を企業研究に充てるなど、隙間時間の活用が鍵となります。

3. 「退職後の活動」を選んでも良いケースとは?

基本は在職中をおすすめしますが、以下のようなケースでは、先に退職してリセットすることを選択肢に入れても良いでしょう。

心身の健康が限界に近い場合

これが最も重要な例外です。
長時間労働やハラスメントで心身に不調をきたしている、あるいはうつ状態に近い場合は、転職活動どころではありません。
まずは休養し、健康を取り戻すことが最優先です。
この場合、失業給付の受給要件(特定受給資格者など)を確認し、制度をフル活用しましょう。

激務すぎて面接の時間が物理的に取れない場合

毎日終電帰り、休日出勤も当たり前という環境では、物理的に転職活動が不可能です。この場合、「今の環境から抜け出すこと」自体がキャリアアップの第一歩となります。
ある程度の貯蓄(生活費の半年分以上が目安)を確保した上で、退職に踏み切る勇気も必要です。

資格取得やスクール通学など、キャリアチェンジのための学習が必要な場合

未経験のエンジニア職などを目指し、職業訓練校や専門学校に通うために時間を空けるケースです。
これは「空白期間」ではなく「自己研鑽の期間」としてポジティブに説明できるため、戦略的な退職と言えます。

4. 退職後の活動におけるリスク管理

もし退職してからの活動を選ぶなら、以下のリスク管理を徹底してください。

  1. 資金計画を綿密に立てる
    失業給付は自己都合退職の場合、申請から受給開始まで2〜3ヶ月の待機期間があります(※制度改正により短縮される場合もありますが、すぐには出ません)。
    住民税や国民年金、国民健康保険への切り替えなど、退職後に出ていくお金は意外と多いものです。
    最低でも半年、できれば1年分の生活防衛資金が必要です。
  2. 期限を決める
    「3ヶ月以内に決める」とデッドラインを設けましょう。
    期限がないと、ダラダラと過ごしてしまい、気づけば半年経過していた…ということが往々にして起こります
  3. 3.生活リズムを崩さない
    会社に行かなくなると、昼夜逆転生活になりがちです。毎朝同じ時間に起き、活動時間を決めて規則正しい生活を送ることが、メンタル維持にも繋がります。

5. キャリアコンサルタントからの具体的アドバイス

最後に、どちらの道を選ぶにせよ、成功率を高めるための具体的なステップをお伝えします。

STEP 1:まずは「市場価値」を確認する(在職中に実施)

辞めるか辞めないか決める前に、転職サイトに登録したり、エージェントと面談したりしてみましょう。
「今の自分のスキルで、どんな求人があるか」「年収は上がりそうか」という感触を掴むことが重要です。
もし反応が悪ければ、今の会社でスキルを磨くべきだという判断ができます。
これはノーリスクでできる最初の一歩です。

STEP 2:優先順位を明確にする

「年収アップ」が目的なら、交渉力が高い在職中が有利です。
「時間の自由」や「健康回復」が目的なら、退職後が良いかもしれません。自分が転職で何を得たいのか、軸をはっきりさせましょう。

STEP 3:円満退社を見据えたスケジュールを組む

内定が出てから入社までの期間は、通常1〜2ヶ月程度です。
在職中に活動する場合、内定獲得後に退職交渉を始めます。
引き止めにあって退職日が決まらないトラブルを避けるため、就業規則の「退職の申し出は〇ヶ月前まで」という項目を事前に確認しておきましょう。

まとめ:あなたの人生を守るための選択を

転職は、より良い人生を掴むための手段です。

「今の職場が辛いからとにかく辞めたい」という逃げの気持ちだけで退職してしまうと、次の職場でも同じような問題に直面したり、経済的な困窮から後悔したりする可能性が高くなります。

「迷ったら、在職のまま動く」

これが、リスクを最小限に抑え、キャリアアップの可能性を最大化するための黄金ルールです。

まずは水面下で情報収集を始め、自信を持って次の一歩を踏み出せる準備を整えていきましょう。

もし、具体的なアドバイスが必要であれば、キャリアコンサルタントに相談するのもおすすめです。
ご相談はお気軽にご連絡くださいね。

あなたの転職活動が、納得のいく素晴らしいものになるように応援しています。

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