こんにちは。
カリエーレコンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。
令和7年4月17日(木)厚生労働省仮設第3会議室で、
第3回 経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会が開催されました。
この研究会は、厚生労働省が、以下の議題を専門家の意見を交えて、経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現を目指すことが目的です。
今年の2月に1回目が開催され、今回が3回目です。
(1)経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングに必要な能力について
(2)企業におけるキャリアコンサルティングに関する取組について
(3)需給調整機関におけるキャリアコンサルティングに関する状況について
今回の研究会では、「キャリアコンサルティング理論と実際」の著者で、「社会正義のキャリア支援」を推奨する独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の下村英雄氏も参加されました。
下村英雄氏は、労働政策研究・研修機構の職業構造・職業指導部門に所属しており、研究会において以下の3つの能力がキャリアコンサルタントに必要であると提案しました。
- 労働市場情報等のデータを支援に効果的に活用する能力:
キャリアコンサルタントは、労働市場の動向、求人情報、業界のトレンドなど、様々なデータを収集・分析し、相談者の状況に合わせて適切な情報提供やアドバイスを行う必要があります。これには、統計データや情報システムの活用能力も含まれます。 - 変化の激しい時代において労働者個人がキャリア的に自立することを支援する能力:
終身雇用制度が崩壊し、個人のキャリア形成が重要となる現代において、キャリアコンサルタントは、相談者が主体的にキャリアを設計し、変化に対応できる能力を育成する必要があります。これには、自己分析の支援、目標設定、スキル開発、生涯学習の促進などが含まれます。 - リスキリングを含めた労働者のキャリア形成の在り方を企業に提案する能力:
企業は、従業員の能力開発やキャリア形成支援を通じて、組織全体の競争力を高める必要があります。キャリアコンサルタントは、企業のニーズを把握し、研修プログラムの設計、人事制度の改善、キャリアパスの提示など、具体的な提案を行うことが求められます。

今後のキャリアコンサルタントのあり方
研究報告書に基づくと、今後のキャリアコンサルタントには、従来の1対1のカウンセリングスキルに加えて、以下の能力が求められると思います。
- 情報リソースや情報システムを活用できる能力:
労働市場やキャリアに関する情報は日々変化しており、最新の情報を効率的に収集・分析し、相談者に提供する必要があります。 - 多文化・社会正義論的な問題意識:
グローバル化が進み、多様な背景を持つ人々が職場に増える中で、文化や価値観の違いを理解し、公平なキャリア支援を行うことが重要です。また、社会的弱者に対する支援や、格差是正といった社会正義の視点も求められます。 - 倫理的・法的な問題に対する能力:
個人情報保護、ハラスメント防止、労働法規など、キャリアコンサルティングに関わる倫理的・法的な問題を理解し、適切な対応を行う必要があります。 - ITスキルの維持・向上:
キャリアコンサルタントの高齢化が進む中で、オンライン相談、情報管理、データ分析など、ITスキルは不可欠です。
現状、キャリアコンサルタントは、50~60代で全体の6割強を占めます。
年齢は、50代、60代が増加し、高齢化が急速に高まっています。
より深刻な問題は30~40代の減少→キャリア支援人材の先細りが懸念されると言えます。
これらの状況を鑑み、上記のような能力を習得し、変化する社会に対応できるキャリアコンサルタントの育成が必要です。
厚生労働省の掲げた2024年までに「キャリアコンサルタント10万人計画」は、目標は達成されたようですが。資格更新しない人たちを引くと現在、キャリアコンサルタントは約8万人だそうです。
今後、社会、企業にキャリアコンサルタントが普及していくには、今回の研究報告書での課題をキャリアコンサルタント各々が、認識して業務に活かしていくことが必要度思います。
第3回 経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会資料 www.mhlw.go.jp

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