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ラディカル(社会変革)【ワッツの4つのキャリアガイダンスのイデオロギー】

こんにちは。
カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

今回のブログは、社会正義のキャリア支援論のパイオニア、トニー・ワッツの考え方について述べます。

比較的、安定していた時代には、キャリアコンサルティングは「個の問題」にフォーカスすれば、良かったです。
いかに社会の中で自分を活かしていくか、自己実現していくかといったキャリアコンルティングです。

しかし、現代のように社会が不安定になってきた際、「社会の問題」にフォーカスしていくキャリアコンサルティングが社会に求められるようになっていました。

もちろん、1対1の個人のキャリアコンサルティングも重要です。
それにも増して社会を意識したキャリア支援、つまり、社会正義のキャリア支援が必要になるとワッツは論じています。

ワッツの論じる中で有名なのは、「キャリアガイダンスの4つのイデオロギー」です。

これはキャリア支援を「社会に焦点があるー個人に焦点がある」と「変革を目指すー現状維持を目指す」の二軸にで四つに分けて考えます。

まず、歴史的に最も古い考え方は、「コンサバティブ(社会統制)」です。

社会に焦点があり現状維持を目指す意味です。


このタイプのキャリアコンサルティングは、社会のニーズを満たすために人材を適材適所に当てはめていくというアプローチです。
社会を管理していく社会統制的な考え方です。
マッチング理論があります。

次が「リベラル(非指示型)」です。

個人の自由を認め人が自分の可能性を追求する手助けをすべきだという考え方です。


ロジャース的な意味で非指示型のキャリアコンサルティングであり、本人の可能性を信じるという考えです。
1950年代の自己実現論をベースにしています。

その次は「プログレッシブ(個人的変化)」です。

個人の変革はどこまでも可能であるという考え方です。

リベラルに似ていますが、違いがあります。
現状のまま自分の可能性は大きな可能性があり非指示的なキャリア支援で伸びるという考えがリベラルである一方で、プログレッシブは現状に飽き足らず、どこまででも個人を高めようという考え方です。

いわゆる自己啓発本やそれを基にしたキャリア支援で、現在でも優勢な考え方です。

但し、新自由主義的で自己責任論だと批判されることもあります。

そして、ワッツが重視した考え方が「ラディカル(社会変革)」です。

変化を求める点では、プログレッシブに似ていますが、個人ではなく社会に変化の対象を求めることに違いがあります。

つまり、個人を対象にするのではなく社会に働きかけ、問題を解決するという考え方です。

貧しい学生に一生懸命に勉強をして優秀な学生向けの奨学金を獲得させようとするのがプログレッシブです。
一方、ラディカルは貧しい学生に学費免除やより容易な条件で奨学金を獲得できるよう制度を整備することに働かけることです。

このワッツの「キャリアガイダンスの4つのイデオロギー」が提起されたのは1976年です。

この頃は、注目されていませんでしたが、2000年以降、社会正義のキャリアコンサルティングが盛り上がってきた頃に本格的に研究者に受け入れられました。

ワッツの考え方が、この頃、社会が追いついたのです。

そして、現在、ラディカルな社会変革という視点でキャリアコンサルティングを実践していくことにより、社会を少しづつ変革していくという考え方が支持され、世界のキャリアコンサルティングの潮流となっています。

ラディカルな社会変革というと、日本では少し、過激に捉えられるかもしれませんね。
しかし、停滞する日本社会を打破していくには、世界の潮流であるラディカルな社会変革を唱えるキャリア支援が必要なかもしれませんね。

私は、日本社会には、緩やかでラディカルな社会変革を唱えるキャリア支援が、必要な感じがします。
なぜなら、急速に少子高齢化、AI化が進むこれから、今までの支援では、従業員のサラリーは多くは望めず、このまま低空飛行を続けてしまう恐れがあるからです。
岸田政権は新しいし資本主義、リスキニングに注力していますが、今後の動向に注目でしょう。

皆さんは、どう思われますか?

参考文献:「社会正義のキャリア支援」図書文化社・下村英雄著

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