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【本質を比較】AIキャリア相談 vs. キャリアコンサルタントの傾聴!あなたが本当に必要なのはどっち?

こんにちは。
一般社団法人カリエーレ・コムサ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

近年、AI技術の発展は目覚ましく、私たちの生活のあらゆる場面に浸透しつつあります。
キャリアコンサルティングの分野も例外ではなく、AIを活用したキャリア支援サービスが数多く登場しています。
ハローワークでもAIを活用し始めます。

キャリアコンサルティングにおいて、最も重要とされるキャリアコンサルタントの「傾聴」は、AIによる相談とは、どこが違うのでしょうか?
この違いを理解し、両者を効果的に活用することで、相談者は自身のキャリア形成をより豊かになると思います。

以下、解説しますね。

キャリアコンサルタントの「傾聴」とは?

キャリアコンサルタントの「傾聴」は、単に相談者の話を「聞く」ことではありません。

「傾聴」は、相談者の言葉の裏にある感情、価値観、潜在的なニーズ、そしてまだ言葉になっていない思いにまで深く耳を傾け、共感的に理解しようとする姿勢です。

この「共感的理解」こそが、傾聴の最も重要なことで、AIには持ち得ない人間固有の能力と言えるでしょう。

具体的には、傾聴には以下の要素が含まれます。

  • 受容と共感: 相談者の話を批判せず、ありのままを受け入れ、その感情に深く寄り添います。(無条件の肯定)
    これにより、相談者が安心して本音を打ち明けられる心理的安全な場を提供します。
  • 非言語的コミュニケーションの理解: 声のトーン、表情、ジェスチャー、目の動きなど、言葉以外の情報からも相談者の内面状態や真の意図を注意深く読み取ります。
  • 深掘りする質問: 「なぜそう感じるのですか?」「具体的にどのような状況でそれが起こりましたか?」といった質問を投げかけ、相談者自身が深く自己理解できるよう促します。
  • 沈黙の活用: 相談者が考えを整理したり、自身の感情と向き合ったりするための時間を尊重し、必要に応じて沈黙を共有します。
  • 要約とフィードバック: 相談者の話を適切に要約し、理解した内容を伝えることで、相談者が自身の考えを客観視し、整理する手助けをします。
  • 無意識のメッセージの受容: 相談者自身も気づいていない感情や欲求といった無意識のメッセージにも意識を向け、それらを尊重します。

これらの要素が組み合わさることで、キャリアコンサルタントは相談者の「今、ここにいる私」を深く理解し、その人固有の物語を紡ぎ出す支援を行うことができます。

「傾聴」は、相談者が自身の内面と向き合い、新たな気づきを得て、「次への一歩」を踏み出す、最終的に自律的に行動するためのキャリアコンサルティングの基本中の基本となります。

AIキャリア相談とキャリアコンサルタントの傾聴の違い


AIによるキャリア相談とキャリアコンサルタントの傾聴は、そのアプローチと提供できる価値において大きく異なってきます。

AIによるキャリア相談は、データとロジックに基づく効率的な情報提供と分析です。AIによるキャリア相談は、主に以下の特徴を持ちます。

  • 膨大な情報の高速処理と分析: 職務経歴、スキル、興味などの入力データに基づき、市場動向、求人情報、適性診断の結果などを瞬時に分析し、客観的な情報や選択肢を提示します。
  • パターン認識と予測: 過去の膨大なデータからキャリアパスのパターンを認識し、特定のスキルセットを持つ人の成功確率や、将来性のある職種などを予測します。
  • 客観性と中立性: 個人の感情や主観に左右されることなく、常にデータに基づいた客観的かつ中立的なアドバイスを提供します。
  • 時間や場所の制約がない: 24時間いつでもどこからでもアクセス可能で、気軽に利用できます。
  • コスト効率: 人件費がかからないため、比較的低コストで利用できるサービスが多いです。

以上の様に、AIキャリア相談は、データとロジテックに基づく効率的な情報提供は得意ですが、AIは感情を「体験」することも、非言語的なメッセージを深く「理解」することもできません。

相談者の不安や葛藤といった複雑な感情に寄り添い、その背景にある個人的な物語や価値観を深く掘り下げることは困難です。

例えば、「今の仕事にやりがいを感じない」という相談に対し、AIは関連職種の情報を提示したり、スキルアップの必要性を指摘することはできても、「なぜやりがいを感じないのか」といった、人間の内面に深く関わる問いを探求することはできません。

AIは「傾聴」に取って代わるのか?

AIの感情認識技術は日々進化していますが、それでも人間のキャリアコンサルタントが提供する「傾聴」に完全に取って代わることは、現在の技術レベルでは非常に難しいと考えられられているようです。

将来的に感情をより深く「理解」できるようになる可能性はありますが、それでも人間が行う傾聴とは本質的に異なる部分が残り続けるでしょう。

まとめ:AIとキャリアコンサルタントの共存が描くキャリア相談の未来

AI技術は、情報収集や初期分析の効率化、データに基づいた客観的な示唆の提供など、キャリア支援の可能性を大きく広げました。

しかし、人間のキャリアコンサルタントが提供する「傾聴」は、AIには代替できない、人間ならではの深い共感と理解、そして成長支援のプロセスでしょう。

AIはデータに基づいた論理的な思考を補完し、キャリアコンサルタントは感情や価値観といった人間的な側面を深く理解し、サポートします

キャリア相談の未来は、AIとキャリアコンサルタントがそれぞれの強みを活かし、互いに補完し合う「協働」の関係を築くことで、より豊かでパーソナライズされたものになるでしょう。

相談者は、自身のキャリアステージや悩みの深さに応じて、AIと人間のキャリアコンサルタントを賢く使い分けることで、自己理解、仕事理解を深め、最適なキャリアパスを見つけ、そして何よりも、納得のいく豊かな職業人生を歩むことができることが期待できます。

キャリアコンサルタントとしては、AIの進化を恐れるのではなく、それを最大限に活用し、より質の高い傾聴と深い支援を提供していくことが、これからの重要な役割だと考えます。

AIという強力なツールを使いこなしながら、人間だからこそできる「心に寄り添う支援」を提供し続けること。
それが、これからのキャリアコンサルタントに求められる姿と言えるでしょう。

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