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「忘れられた半分の声」に耳を傾ける!?

こんにちは。
カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

昨今、日本では社会的立場の弱い人たちの声が、社会に届きずらい世の中の感じがします。

このような時代には、社会正義(ソーシャル・ジャスティス)のキャリアコンサルティングのアメリカにおける第一人者、ブルースティンの考え方を見直してみる必要があると思います。

ブルースティンは、「忘れられた半分の声」の論文の中で、社会階層によって職業意識、キャリア意識が全く違うと述べています。

ブルースティンの考え方は、従来のキャリアコンサルティングは「アメリカ白人男性ホワイトカラー」を中心に行われてきたのではないかという批判から発展しました。
この研究は、労働者階級や貧困層に対するキャリアコンサルティンに目を向けようとするものです。

この論文は、10名の大卒でない若者の階層からインタビューした調査結果をまとめたものです。

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結果的にアッパー(上位)はヨーロッパ系アメリカ人、ローワー(下位)はアフリカ系アメリカ人になりました。

人種と階層は密接に関連していることが分かります。

アッパー(上位)の若者にとって、自分の能力に合った仕事をすることが重要であり、そのような仕事があると考えています。
自分のやりたいことを目標にして、自己実現しようとしています。

一方、ローワー(下位)の若者は、仕事をする理由は「お金」であり、また、それしかないと考えています。
なぜかと言うと、経済的な事情を重視し、「経済的なサバイバル」を抜きにして学校に通うことは考えられないのです。

ブルースティンは、こうした社会階層に絡み合った文化、環境、慣習が、若者が育った過程で本人の内面に深く染み込んでいて、将来のキャリア計画、本人のアイデンティティの中心である職業意識にも大きな影響を与えていると考えます。

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この論文は人種の多様性を鑑みるアメリカの若者を調査したものであり、日本には当てはまらないように思えますが、この社会階層によるキャリア形成に影響を与える傾向は日本でも見られると思います。

ブルースティンは、キャリアを通じて自己実現、そのための計画の立案、学校や親などからの支援など全てが、本人の生まれ育った環境によると主張しています。

従来のキャリア支援の研究は、結果的に社会階層の問題は無いかのように扱われてきました。
しかし、ブルースティンは、現実は、学校から職業への移行で最も重要な要因は社会階層と唱えています。

この社会階層、つまり、労働者階級、貧困層の社会階層は、これまで「忘れられた半分」であり、この問題を考えていく必要性があると述べています。

そして、彼らの視点から職業選択やキャリアを理解するという問題意識をも持ってキャリアコンサルティングを行うことが重要と論じています。

これまでキャリアコンサルティングしていて、相談者の育った環境などのバックグラウンドが理由で、現在、進路が定まらない相談者を見てきました。

懸念されることは、このような層の人たちの声が社会に届かず、社会での居場所が無くなってしまうことです。
そして、最も恐れることは、社会から排除されることです。
また、「無敵の人」になって社会の不満に牙を向く考え方をする人たちの行動が現実に起きていることも心配です。

今の日本社会は、稼いでいる層が主体の居場所であると思います。
社会の格差、分断の始まりが日本で感じられます。

このような現状、キャリアコンサルタントは「忘れられた半分の声」に耳を傾けることが、重要と考えます。

【参考文献】
「社会正義のキャリア支援」下村英雄著

【堀江貴文(ホリエモン)イノベーション大学校公式ブログ書評
人気ランキング1位獲得】

https://bookrev.horiemon.com/
entry/2021/12/09/220000?fbclid
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