こんにちは。
カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。
前回のブログでは、ラッツの「第5の波」について述べました。
「第4の波」の「多文化」から「第5の波」の「社会正義」への流れについでです。
今回は「社会正義のキャリアコンサルティングの本質」について述べます。
日本の社会正義のキャリア支援研究の第一人者、労働政策研究・研修機構キャリア支援部門主任研究員、下村英雄氏によるとキャリアコンサルティングの「多文化から社会正義」論への発展には大きな変化があると言います。
社会正義のキャリアコンサルティング論で、最も重要で肝となるところです。
「多文化キャリアコンサルティング」論の論理の根幹には、多様で多文化の個人の特徴や属性をどこまでも尊重するという面があります。
突き詰めると、最終的には個人個人はそれぞれだ、個人は自分の価値観や文化を最大限、受け止められるべきだという話になります。
しかし、問題なのは、個人尊重、個人重視の論理からは、個人を互いに結び付け、統合し、協力し合うという考え方が生まれてこないことです。
自分は白人ではないから、男性ではないから、自分は異性愛者とは違うから、自分は富裕層ではないから、自分は多数派ではないから、自分は社会の中心ではないから、自分は普通ではないからなど・・・・・といった調子で、他人とは違うことばかり強調していくだけになってしまします。
そして、互いに違いだけを強調だけを主張していけば、そこに葛藤や対立が生じます。
しかし、それだけでは、お互いに自分の価値観、文化だけを尊重しろというだけで、バラバラになり協力したり統合されることが難しくなります。
では、どうすれば少数派の周辺的な文化を尊重し、かつ、個人をバラバラにしていくような発想をできないようにすることができるのでしょうか?
その解決方法の一つとして、下村英雄氏は「少数派の周辺的な文化を尊重する価値」を普遍的な価値として考え、社会全体の理想、目標として捉えることだと述べています。
下村氏によると「多文化のキャリアコンサルティング」論はある時点で行き詰まりを見せたそうです。
女性のキャリア発達の研究者は男性の違いだけを強調するだけ、LGBTの研究者は、LGBTの不利益だけを強調する傾向があったそうです。
下村氏はこれらすべての動向を社会全体が「社会正義」を推進するキャリアコンサルティングの形で、「社会正義」という一つの普遍的な価値観のもとで統合すれば、多くの人が議論に関われるようになれると述べています。
現在、米国のバイデン新大統領はじめ、先進国の首脳たちが「統合」「協調」を重視し始めました。
社会正義のキャリアコンサルティングもこの世界の潮流に合っているのではないでしょうか。
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