こんにちは。
カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。
今回のブログも社会正義のキャリア支援論のパイオニア、トニー・ワッツの考え方について述べます。
ワッツは「キャリア支援」を私的な財産ではなく、公共財だと述べています。
それは、教育からのドロップアウトや労働市場のミスマッチを減らすからだとの論じています。
また、下記のようなメリットを挙げています。
・教育・訓練の提供者に利益をもたらす。
・学習者にもニーズに合ったプログラムが有効的である。
・雇用主には雇用主が求める資質をとモチベーションの高い従業員を提供できる。
・政府には二つの利益をもたらす。
一つは、人的ソースの配分と活用の効率化。
もう一つは、教育の機会、職業の機会へのアクセスの社会的公正を進めることです。
「キャリア支援」は単に得ての個人の支援を行うためではなく、誰もが利用でき、みんなの役に立つ社会全体の公共財であると述べています。
つまり、「キャリア支援」は、まずは個人の支援を行い、最終的に国、社会全体に役立つと考えるのではなく、まずもって、国、社会全体に役立つ公共施策・社会施策の問題として考えるという視点です。
ワッツ以降は、「キャリア支援」は、国、社会、組織など一定のシステムを援助するものとして考える傾向になっています。
この考え方が、「社会正義のキャリアコンサルティング」のベースになっていると思います。
コロナで社会全体のシステムが窮地に陥った経験を得た現在、ワッツの考え方は注目に値すると考えます。
また、現在、岸田政権の掲げるリスキニングなどへの助成金制度の「人への投資」もワッツの考えにつながっていると思います。
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