こんにちは。
カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。
人間には喜怒哀楽といった感情があります。
キャリアコンサルタントはクライアントの喜怒哀楽を共感、受容してキャリアコンサルティングにあたります。
クライアントに寄り添いながら、傾聴を心掛け、自己一致をして、無条件の肯定的関心をすることで、クライアントの主訴を把握し、問題解決するための支援、提案をします。
キャリアコンサルタントが最初に学ぶことです。
しかし、人の感情、人の心を理解することはそんなに簡単でありません。
顔で笑っていても相手の心の中の本当の気持ちは、理解できるでしょうか?
もちろん、クライアントに寄り添い、傾聴して共感する努力はします。
時に、クライアントの勤める企業や行政の制度や仕組みに対して、クラインアントが憤慨、怒りを持っていたとしたら、キャリアコンサルタントは共感受容し、企業、行政を追及、断罪といった激しいアプローチをしなければならないと感じることもあるでしょう。
例えば、不当解雇、賃金の未払い、差別などのクライアントの承諾できない相談としてあったとしたら、クライアントの憤慨、怒りに共感して、企業、行政に対してキャリアコンサルタントが支援策を代弁者として要求する行動も考えられます。
この行動をアドボカシーと言います。
こうした問題解決に対して、アドボカシーは社会正義(ソーシャルジャスティス)のキャリア支援としてはふさわしいと思います。
しかし、余りに過激な追及、断罪をすることは、キャリアコンサルタントにはふさわしくないでしょう。
キャリアコンサルタントは人の心理も勉強し、対人的なコミュケーションの専門家とも言えるからです。
対人的コミュ二ケーションのスキルを用い、企業、行政の担当者に丁寧に相談して、企業、行政の理由を聞き、対策を考えてみることがキャリアコンサルタントの仕事には、求められるでしょう。
一方、断罪、追及などの激烈なアプローチは他の分野の実践家、専門家に任せた方が良いと思います。
その意味でキャリアコンサルティングは「非断定的」と言えます。
特に「社会正義(ソーシャルジャスティス)のキャリア支援論では、注意すべき重要なポイントとして、キャリアコンサルティングは非断定的と言える」と日本の「社会正義(ソーシャルジャスティス)のキャリア支援」研究の第一人者、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JIPT)キャリア支援部門副統括研究員、下村英雄氏は述べています。
話は大きく展開しますが、現在、ロシアがウクライナを侵攻しています。
両国に一般人を含め犠牲者が出ており、戦争に至ったことは残念で憤りを覚えます。
このような事態を収束させるには、社会正義(ソーシャルジャスティス)のキャリアコンサルティング的な発想が必要かもしれないと感じます。
非断定的なアプローチです。
当事者に攻撃するかしないかを断定的に差し迫るのではない方法です。
もちろん、指導者は社会的弱者では、無いので社会的弱者を支援する意味を持つ社会正義のキャリア支援が適切なのかはわかりませんが、その理念は活用できる気がします。
「企業、行政、国家などの組織の問題について議論するにあたり、一見、組織の管理について話しているようで、実際には個人的感情が絶大な重要性を持っていることは、誰もが気付くことだと思います」と前述の下村氏は述べています。
戦争も一見、国家間の組織的に仕掛けているように思われますが、指導者の個人的感情が重要な要因になっているかもしれません。
今回の戦争は、マスコミ、SNSの情報を見聞きするとそんな感じもします。
もちろん、どんな理由としても戦争で問題解決をしようとする考えは肯定できません。
もし、戦争を仕掛けた側の指導者のキャリアコンサルティングをするとしたら、キャリアコンサルタントは、もちろん、指導者に対する共感、受容も必要になるのでしょう。
以前、あるキャリアコンサルタントの先生に「同感と共感は違う」と教えていただきました。
このような戦争を犯した側のキャリアコンサルティングする際、同感するのではなく、共感、受容するには、相当な歴史、宗教、民族、世界情勢、生い立ちなどの知識を理解していないとできないなと思いました。
同感することなく共感、受容する。
言わば、国際軍事裁判に立つ弁護士の感覚と言えるでしょうか。
戦争の早期終結を望みます。
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