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「生産性が低い」日本企業の構造的な課題の乗り越え方

カリエーレ・コンサルタンツ、キャリコンサルタント佐渡治彦です。

新型コロナ収束後のテレワーク継続希望率は、69.4%。
「あまり続けたくない」「続けたくない」という人は全体の11.1%にすぎない。

テレワークが進み、HITACHIのように日本企業は「ジョブ型」雇用が進む可能性が高い。

現状、いちばん問題となりやすいのはロールモデルがいないということ。
メンバーがジョブ型で働こうとしても、上長にジョブ型の経験がなく、
周りにロールモデルもいないのでうまくマネジメントできないケースが少なくない。

これら課題をどうしていくのか。

アクセンチュア ビジネスコンサルティング本部 金若 秀樹 氏 の記事が興味深いです。※東洋経済オンラインより

COVID-19の感染拡大に伴い、リモートワークを推進した企業は多い。先の状況が見通せない今、リモートワークなどを活用しながら、従来の課題である「労働生産性改革」を実現することが賢い選択だろう。しかし、課題も多い。全社的なデジタル化を図るだけでなく、リモートであってもしっかりとマネジメントが機能し、従業員のモチベーションを維持できるような雇用形態や評価制度に切り替えていく必要がある。高いハードルにも思われるこれらの課題を、どのようにして乗り越えていけばよいのだろうか。制作 / 東洋経済ブランドスタジオ

ポストコロナでの 労働生産性を高める人材戦略

 

アクセンチュア ビジネスコンサルティング本部
コンサルティンググループ日本統括
マネジング・ディレクター
金若 秀樹 氏

リモートワークを導入する企業が増えました。現場や経営層の間でどのような課題が浮上していますか。

金若現場レベルでは、「メンバーと気軽に話せず孤独感が募る」とか、「OJTができずに新人や中途採用者の育成が難しい」といった声が上がっています。ただ、パーソル総合研究所が6月11日に発表した緊急事態宣言解除後のテレワークの実態についての調査によると、新型コロナ収束後のテレワーク継続希望率は、69.4%にものぼります。「あまり続けたくない」「続けたくない」という人は全体の11.1%にすぎません。「どちらとも言えない」は19.5%。課題はあるものの、この流れを好意的に捉えている人が多数です。

引用元:パーソル総合研究所「緊急事態宣言解除後のテレワークの実態について」(2020年6月11日発表)

一方、経営層はどうか。少なくとも私がお話しした経営者の方々は全員、「この流れは止めない」と明確におっしゃっています。「コロナ禍は、今までできなかった業務上の不合理の一掃や生産性改革を抜本的に進める契機になる。リモートワークはそのための手段の1 つ」という認識です。もちろんコミュニケーションがリモートのみというのはオンサイト(対面)のメリットから目を背けることになりますのでバランスをとることは必要ですが、フル出社に戻したいと話される方はいません。

課題に関しても、生産性に言及する方が多いですね。具体的には、「オフィスにいることは必ずしも効率的ではなかった」「紙の存在が業務プロセスを分断していることがわかった」「自律的に動ける人とそうでない人の差が明確になった」といった声がよく上がっています。

リモートワークの推進で、働き方はどのように変わっていくでしょうか。

金若従業員の生産性の可視化と、それを実現するためのアウトカム(成果)をベースにした働き方へのシフトが起きると考えています。例えば、雇用形態は原則出社のフルタイムから、場所や時間を問わないフレックス制にシフト。業務は属人化されたものからジョブディスクリプション(職務記述書)で定義されたものに変わり、ジョブ型雇用が中心になっていくでしょう。それに伴い、評価制度もアウトカムベースになります。

COVID-19で雇用形態や働き方はどう変わるのか

テクノロジー活用により、リモート環境下での業務遂行が可能となる一方、アウトカムを意識した働き方へのシフト=生産性改革が起こると考えられる

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人材の流動化も進むでしょう。例えば、営業職などこれまで対面接点が必須とされてきたような業務でもリモート化が進み、「営業マンごとの担当エリア」という概念がなくなると、仕事のできる優秀な人はエリアを超えて多くの顧客と接点を持ち、高い成果を上げるようになります。優秀な営業マンは、地域横断で手広く優良顧客を囲い込む、あるいは、企業から独立して、特定の企業製品・サービスを超えて重要顧客にサービスを提供する、いわばフリーエージェント的な働き方が可能になる。その一方でそういった変化に対応できない営業マンだけが企業に留まり続けるという事態が起こりかねません。

これを防ぐためには、企業が優秀な人に「この会社で働く意味」を打ち出し、エンゲージメントを高めることが必要です。例えば経営理念やビジョンを、より共感されるものに見直すことも1つ。ほかには、人材育成を全社一律ではなく個人に合わせる、働く人にとって学びのある多様性にあふれたチームをつくるなど、組織づくりの工夫も求められます。個人の生産性を最大化できる仕組みをつくることの重要性は増し、リモートワーク環境の整備はその一環として進んでいくと思います。

では今後、営業の手法はどのように変化していくでしょうか。

金若従来、新規顧客獲得はリアルでないと難しいと言われますが、今後はリモートでできる部分が広がるはずです。例えば米国で活用が進んでいるバーチャル展示会。CGなどを活用してリッチなバーチャルツアーを行い、さらに参加者同士で1on1のミーティングができる機能もあり、リード創出に使えると評価が高まっています。

リモートで獲得した見込み客は、その後のクロージングまでリモートで完結する傾向があります。これは単に効率がいいだけでなく、営業行為がすべて自動でデータ化されるというメリットもある。営業プロセスが可視化されると、途中で上長が確認してアドバイスすることができます。アウトカム重視と言うと「結果がすべて」の冷たい印象を抱くかもしれませんが、バーチャル化によってプロセスの途中状況を把握し、必要なケアをしやすくなるのは大きなメリットではないでしょうか。

日本企業にとって、アウトカム重視の働き方への移行は決して簡単ではないですよね。どのようなステップを踏んで進めていけばよいのでしょうか。

金若まず解決しなければならないのは、「構造上の問題」です。「職務」がそもそも存在しない、「多様性」が定義づけされていない、アウトカム重視の評価制度に移行していない……。そのためには、まず人材の定義も変えなくてはいけないし、マネジメントや評価、育成の考え方も変えないといけない。現実的なところだと、「アウトカム」に還元されにくいルーティンワーク業務を見直して集約化や自動化などで現場の負荷を軽くしないことには、新たな改革に向き合う余力も生まれません。

しかし、それらをゼロからやるのは大変ですし何より時間がかかります。それらを解決するアプローチとしてお客様には「アクセンチュアをプラットフォームとして使ってください」とご提案しています。アクセンチュアはもともとジョブ型雇用で、「出る杭を伸ばす」というマネジメント方針・文化です。またクライアント企業のオフィスで仕事をすることも多く、昔からリモートワークを活用してきました。アクセンチュアの経験の中でつくり上げてきた仕組みを叩き台として、そこに、お客様らしさをカスタマイズしてプラスすれば、生産性改革を絵に描いた餅にすることなく、一足飛びに実現することができます。

すでにある仕組みを上手く活用するということですね。では、よくある悩みにはどんなものがあるでしょうか。

金若いちばん問題となりやすいのはロールモデルがいないということ。メンバーがジョブ型で働こうとしても、上長にジョブ型の経験がなく、周りにロールモデルもいないのでうまくマネジメントできないケースが少なくありません。

例えば、アウトカムベースの評価に切り替わったにもかかわらず、“会議の途中でスマホをいじっている”など、本質的でない態度やふるまいで評価をしてしまう、というケース。アウトカムベースとなると、他者に迷惑をかけたりコンプライアンス上の違反を犯したりしていない限り、途中の一挙手一投足に神経質になりすぎる必要はありません。会議中にスマホで会議内容に関係する情報をさっと調べていたり、緊急のメールチェックをしてメンバーに指示を出していたりといったパラレルワークを、従来の倍の生産性でこなしているのかもしれない。いずれにせよ、本当に価値を出している人よりも、上司に対して態度の良い人を評価するのはナンセンスでしょう。

作業の渡し方やフィードバックのしかたにも、かなり技術が必要です。管理者はメンバーの状況やスキルを見極め、適切な量の作業を振る。加えて、問題が起きたときには自分がカバーできる量か、なども考えて、作業の割り振りを行う。フィードバックについても、頑張っているように見えるか否か、あるいは上司の主観的な感想を押し付けるのではなく、今の職位に求められていること、あるいは次の職位に求められる職務内容をベースに、本人に必要な改善をきちんと自覚させるようにコーチングする必要があります。

実際、管理者であれ現場のメンバーであれ、ジョブ型を実践してきていない企業では、実際のロールモデルを見て学ぶことができないので、なかなか切り替えが難しい。そこで私たちは、管理者に向けたフィードバックのサポートを行っています。とくに新しい領域でもあるデジタル系人材については、アクセンチュアが育成・評価を支援しつつ、管理職にも評価者へのフィードバック方法をOJTするという仕組みをとることもあります。デジタル人材の育成に知見があり、またジョブ型が身についている弊社のメンバーと、クライアントのメンバーを2人1組のバディーにして、DXトレーニングカリキュラム+OJTでカルチャー含めてノウハウを移管する「2 in a box」というサービスをご提供しているのです。

アクセンチュアが提供する 管理者に向けたフィードバックのサポート

原則的にはクライアント管理職が評価者として目標設定・評価を実施するが、上長が当該職種の専門性を有していない場合は、アクセンチュアのデジタル人材が評価を支援しつつ管理職に評価者へのフィードバック方法をOJTす

最後に、生産性改革が上手くいっている企業とそうでない企業の違いをお聞かせください。

金若生産性改革を単なる人事マターと捉えるのではなく、全社の経営マターと捉えることが重要です。経営トップ自らが生産性改革を主導していく企業と、人事制度改革とだけ捉えて人事部任せにする企業とでは、将来の改革の成否は大きく分かれると考えています。

またこの領域では、全体的にデータサイエンスの活用が遅れている印象です。社員の生産性向上やエンゲージメント向上にはデータアナリティクスやAIを活用できる余地が多分にありますが、各社でのその実現は限定的です。

今回のリモートワークの普及で、今まで取ることのできなかった企業内データの取得が可能となり、AIによる各種予測精度が飛躍的に高まっています。われわれのある事例では、AIを活用して退職者の事前予測を試みていますが、その精度は現在80%を越えています。

これらを活用しないのはもったいない。経営者のみなさんは総論でAI活用に賛成ですが、自らコミットメントする方もいれば、担当者に任せて「あとはよろしく」という方もいらっしゃる。やはりこれも前者のほうが成果創出に成功している例が多いように思います。

経営者のみなさんには、自ら先頭に立って生産性改革を主導していただきたいですね。

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